奈良県の正倉院に大宝2年(西暦702年)の戸籍用紙が今も残されており、1300年以上の歴史があるとされています。
詳しくはTOPページの美濃和紙もご覧ください。
***「美濃和紙」という名称の問題点***
現在では手漉き和紙にかぎらず、機械製紙や他産地の紙を美濃地方で加工したもの、それどころか不織布やフェルト、プラスチックやガラス繊維のような異素材までもが美濃和紙と呼ばれてる場合もあります。
まず、不織布、フェルトはJIS規格によるとお互いに別のものであることが定義づけられており、そのどちらも紙とは別ものであることが明記されていますので、これを和紙として売られているのは偽装にあたると考えられます。
もともと手漉きの紙しかなかった時代には「和紙」という言葉は使われておらず、機械製紙産業が日本に入ってきたころに、和紙や洋紙という言葉が普及していったようです。つまりもともと日本で作られていた紙が和紙、海外の文化を取り入れた高度な紙作り製法によるものが洋紙とされていたようです。
近年では機械漉きや類似品と区別するために、あえて手漉きのものにだけ限定して「美濃手漉き和紙」と言われたりしています。
しかしながら実は「美濃和紙」という名称は昭和60年に国の伝統的工芸品に指定されており、伝統的工芸品は「製造過程の主要部分を手でつくる」ことが定められていますので、正しい解釈をすれば「美濃和紙」とは「美濃地方で作られた手すきの紙」が本来の定義だということになります。
ですがまた2007年に「美濃和紙ブランド協同組合」というものも別に設立されており、こちらも地域団体商標の「美濃和紙」名称を使うことになっており、どちらも国から認められた団体であるにもかかわらずその定義内容の差が広すぎるため、矛盾のような状態も生じています。
「美濃和紙」名称の使用権利はさておき、肝心なことは、産地偽装や品質表示の偽装は言語道断ではありますが、手漉きには手漉きの良さ、機械漉きに機械漉きの良さがあります。そしてどちらも「美濃で生まれた和紙」であることには違わないはずです。 そして手漉き機械漉きどちらにも高度な技術を持った職人がおり、誇りを持って漉いています。
このように様々な商品が乱立するなかではありますが、今後は、お客様にできるだけ理解、納得していただいて手にとっていただけるように、私たち作る側からもわかりやすい美濃の紙のあり方について発信する努力が必要です。